水力発電が日本を救う

 

月刊三橋事務局(経営科学出版)の三橋氏と竹村氏の『竹村公太郎の地勢歴史学講座「地形で読み解く日本史の謎」』に関する対談が契機で、ダムのことを知り尽くした元国土交通省河川局長の竹村公太郎氏が書いた本「水力発電が日本を救う」(東洋経済新報社刊)を読んだ。
再生可能エネルギーは増やしたいが、増やせるのは、太陽光発電、風力発電、地熱発電、潮力発電など、今まで余り利用されていなかったものに限られると思っていた。
水力発電は開発済みでこれ以上増やすことは期待できない。ダムをこれ以上作る余地はなく、追加できる水力発電は小電力のものとなり、これは高コストで採算が取りにくく余り期待できないと思っていた。小規模水力発電については技術士会の講演を聴いたこともあったのだが、課題克服がなかなか大変というネガティブな印象があった。

しかし本書は、ダムを嵩上げする、河川法を改定するなど今あるダムを活用する方法に、小水力発電を水源地域の自治体がつくって地元に利益を還元する手法を組み合わせるという総合的・具体的提案である。水力発電にはこれ以上期待できないという今までの思い込みを覆す内容であり、説得力がある。
本書は障害は色々あっても乗り越える方法があるというスタンスで書かれており、力強い。
課題の解決策をこうすれば実現できると具体的に多角的に書いており、さすが水力の専門家と感心した。この水力発電の見直し提案は国土交通省でも是非採用して欲しいと思った。