オーディオ・ホームシアター展
18日土曜日、オーディオ・ホームシアター展に行った。
かつてのオーディオフェアには1960年台から1980年台まで毎年行っていたのだが、オーディオ専門の展示会に行くのは29年ぶりではないかと思う。アナログ・CD・ハイレゾの比較ができ、ユニークなスピーカの試聴もできて面白かったが、ハイレゾは期待程ではなかった。
最高の音を期待して「無線と実験」後援(?)による金田明彦氏製作「電流伝送DCアンプ」~ハイレゾ&アナログ音楽ソースで聴く~に参加した。
しかし、期待した程良い音とは感じられなかった。ソースの限界か、音量が大きすぎるのか、スピーカのバランスが悪いのか、ややうるさい感じで、市販を越える最高級システムでもこの程度かというがっかり感があった。
よく知っているカラヤンのアイーダも視聴リストにあった。迫力はあったが繊細さが足りない。もっとクリアで透明感のある音を期待した。生の音はもっと美しいのではないかと思った。実際、後でNHKの8Kデモを少し見たときのオーケストラの音はもっと柔らかで美しく生に近いと思った。
この展示会はブルーレイによるハイレゾのプロモーションをテーマとしていて、あちこちで視聴イベントが行われていた。既存のブルーレイで再生可能とのことだが、ブルーレイ録画機はテレビに接続されていて、オーディオシステムにはつながっていないので、扱いが面倒である。結局オーディオ専用のブルーレイプレーヤが必要になってしまうので、普及しないのではないか、ハイレゾのダウンロードにかなわないのではないか、と思う。(追記:我が家のブルーレイ録画機DMR-BWT560は有線LANでつながっており、ネットワークオーディオシステムから認識はできたが、DLNAからブルーレイを再生できない。)
ハイレゾに大いに期待していたが、CDとの差は小さく、結局、元の音源の善し悪し次第であると納得した。60歳を過ぎた人間には所詮20kHz以上は聞こえず、大きな差が生じるはずがないのである。試聴室に隣の部屋の低音のうなりが聞こえていたりして、16bitが24bitになったS/Nの向上も判別出来るはずがない。自宅でもこのS/Nの差は判別出来ないのではないか。
3社の最高級アンプの聞き比べイベントにも参加したが、音源にはCDを使用していた。
スピーカに関しては色々ユニークな製品があり、面白いと思った。
特に感心したのが寺垣スピーカである。生々しいよい音がする。デモ機は8個の駆動ユニットで湾曲させた木の板を駆動する。湾曲板は木のリブで補強されている。バッフルは密閉されておらず、背面解放である。
左右2つのスピーカの一方を180度回転させて後ろ向きにしても音像に違和感を生じないのが不思議である。
大きな一つの湾曲した板が振動板であり、独立したツーイターはついていないので、10kHz以上の高音が十分再生できるとも考えにくいが、音のバランスもよい。HiFiとは言えないのだろうが、心地よい。
残念ながら、スピーカのペアに100万円をかける気はないので、デモ機には手が出ないが、飾ってあった小型のTERRA-SP120ならペアで12万円だった。
同じ部屋でデモしていたJazzmanのスピーカも艶のあるよい音だったが、これもペアで80万円以上して、手が出ない。
生々しい音は、共鳴を利用しているためらしい。Jazzmanはエッジ固定のスピーカで、高調波が歪みとして出るために生々しくなるのかもしれない。昔のヤマハのナチュラルサウンドスピーカも生々しい音がした。生々しい音のスピーカには何か共通性があるようである。
しかし、自宅では会場のデモのような大きな音は出せない。大きな音を聞くならヘッドフォンになる。小さなオーディオメーカであるスタックスがオーディオ衰退の中、まだ生き残っていて展示会に出品していた。かつて、スタックスの静電型ヘッドフォン(イヤースピーカ)のSR-1とSR-Xを自作アンプで使っていたことが懐かしい。
スタックスのイヤースピーカのBASICシステムならアンプ込みで5万円程度であり、他社の高級ヘッドフォンよりむしろ安く手に入る。