EAGLEとOLIMEX

最近EAGLEを使って基板を設計し、OLIMEXで試作しました。EAGLEもOLIMEXも今回初めて経験しました。参考までに気づいたことを書いておきます。(2009年上期の情報です。)
主にCQ出版の「プリント基板CAD EAGLE活用入門」とWebのEAGLE and OLIMEXおよび EAGLE for OLIMEXを参考にさせていただきました。今回スムースにできたのはこれらの情報のおかげです。感謝します。
今回の経験で得た教訓は穴径です。2つの注意点を挙げたいと思います。

    • 穴径のチェックには drillcfg.ulp ではなく、drillinfo.ulp (EAGLEに標準附属)を用いる。
    • ライブラリのpackage図をOLIMEX用に変換するには EAGLE for OLIMEX にある libconv.ulp を利用させてもらう。

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穴径のチェックについて
ライブラリの変換について
OLIMEX発注のリードタイム実績
EAGLEのライセンス購入
EAGLEのSupply Pinについて

 

穴径のチェックには、drillinfo.ulp(EAGLEに標準附属)を使いましょう

余ったエリアに最後に汎用スルーホールを設けたところ、その穴径がOlimex非標準の0.8mmでした。OLIMEXから非標準穴径を1種類使用ということで+1EUR 請求されてしまいました。
Drillcfg.ulpでチェックしたのですが、穴径のリストに非標準が紛れ込んでいることを見落としました。Drillinfo.ulpでは非標準の穴を明示的に出力するので、うっかり者でも見落とすことがありません。
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既存ライブラリのPackage図をOLIMEX基準に変換する方法について

シルク印刷の線幅が10mil以上という条件を満たすために、silk.ulpや、silk_gen.ulp、silkwidth.ulp などシルク印刷の幅を修正したレイヤを新たに作る ulp が有ります。(OLIMEXのサイトのTechnical InfoにもOlimexAllSilk.ulp が掲載されています。)しかし、これでは穴径がOLIMEX標準に修正されません。

ここはEAGLE for OLIMEXの libconv.ulp を利用させてもらい、シルク幅と穴径の両方をまとめて修正します。ただし、libconv.ulp はレイヤ51をレイヤ21に移動させてしまいます。EAGLE and OLIMEXにはレイヤ51(tdocu)は「シルクしたくない外形線などに使う」という説明があります。レイヤ51は生産には使わない設定なのでレイヤ21に移動させる操作はしないように修正しました。
下記5行をコメントアウトするとレイヤ51に対する操作はしなくなります。

 TextOrientation = "R";
 source = 51;
 offset = -30;
 do_all(P);
 offset = 0;

ついでにその前の tvalues(レイヤ27)と bvalues(レイヤ28)への操作もOLIMEXでは使用しないので止めました。
修正した ulp は libconv_md.ulp と名前を変えて使いました。
ボード設計後に silk.ulp 等でシルクの線幅を変更しても穴径は変わらないので、silk.ulp ではなく、libconv_md.ulp を使うべきでしょう。

なお libconv.ulp はライブラリをオープンし、使っている Package を開いた状態で ulp を走らせます。使っている Package のすべてについてひとつずつ実行します。修正後 rename により、Package の名称に-OL を追加してOLIMEX用に変えたことが分かるようにしました。

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OLIMEX発注の経過

  • 7/4の0時頃zipファイル添付のe-mailを発信
  • 7/6の19時頃にPO form添付の返信メール受領
  • 7/7の0時頃PO formに必要事項を書いた正式注文書のFaxを送付
  • 7/7の15時頃Fax受領のメール受信
  • 7/14の3時頃shippedのメール受信
  • 7/22の昼頃 基板を受領(さいたま市)

シルク印刷が縦方向に0.2mm位ずれている様ですが、実害はなく、満足できる仕上がりでした。

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EAGLEのライセンスの購入

今回のプリント基板試作は仕事です。基板を作ることにした時点で、小さな基板しか作りませんが、商用利用なので、ライト版のライセンスを購入しました。(EAGLE5.6) 英語版の正規のマニュアルが送られて来ました。
ライセンスは日本の代理店経由です。米国のライセンス料に比べて約2倍ですが、EAGLEのホームページに下記の記載があったので、それに従いました。

If you are ordering from outside the USA, please check our list of dealers to see if there is an authorized CadSoft dealer in your country, and contact them.

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EAGLEのSupply Pinについて

Supとpwrの使い分けが「プリント基板CAD EAGLE活用入門」では不正確のようです。
この本のP39にある「端子の電気的属性」の表ではSupはGND用電源出力端子と説明しており、P40のHD64F3664の例でもVSS端子をSupに指定しています。これは間違いのようです。ライブラリにある標準部品を見るとICのGND端子はSupではなく、Pwrに指定されています。Supは電源出力、Pwrは電源入力というのですが、GNDは電源からの電流が出て行くから電源出力でSupになるという風に解するのは誤りです。
回路図では電源やGNDの接続をいちいち線で結ばずに途中を省略して分けて書くのが普通です。英語のマニュアルによると、Supはこの書き方に対応するためのものです。5Vに矢印を書いて、そこから5Vが各ICに供給されるというような表現の場合に矢印の端子シンボルをSupに指定します。同じ5Vというラベルを持つSupとPwrは接続線が回路図に書いてなくても自動接続されます。(標準のライブラリの中にsupply1.lbrがあり、電源シンボルがいくつか定義されています。)

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